鳥取研修その3「漆掻き」

鳥取研修その3「漆掻き」

朝晩はずいぶんと冷え込み、久しぶりに秋らしい秋を感じる京都です。
鳥取研修シリーズ、第三回は鳥取研修2日目の様子をお届けします。


🎥研修の様子を動画(vlog)でも公開中

今回の研修のダイジェストは、地平線プロジェクトの公式Instagramにてvlogとして公開しています。
ぜひブログとあわせてご覧ください。
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さて、初夏から晩夏にかけては、まさに漆掻き(うるしかき)の最盛期。
太陽の光をたっぷりと浴びて作られたこの時期の漆は、艶も粘度もすばらしく、非常に上質なものになります。
今回は、いよいよ本格的な「漆掻き」に挑んだ現場の様子をお伝えします。


10年越しの恵み。いざ、漆掻き本番へ

現在、鳥取県倉吉市内には5箇所の植樹地があります。
2日目の朝7時半、今回はその中でも十分に大きく育った植樹地へと向かいました。
現場で出迎えてくれたのは、見事なまでに大きく成長した漆の木々と、今年度から鳥取漆の植栽や管理を手伝ってくださっている手嶋さんです。
ご挨拶もそこそこに、さっそく漆掻き体験がスタートしました。



漆掻きの一連の流れ

「漆掻き」という作業を初めて見る方もいらっしゃるかもしれないので、ここで簡単にご紹介します。

  1. 樹皮を削る:まずは表面の硬い皮を削り落とします。
  2. 筋を入れる:専用の鉋(カンナ)の片側を使い、大きく一本の線を削り取ります。
  3. 傷をつける:鉋の反対側にある鋭利な刃を使い、真一文字に一掻き。
  4. 樹液を採取:傷口を塞ごうとして、木からじわじわと乳白色の漆の樹液が染み出してきます。

これを逃さず、定期的に掻き取って容器へ溜めていきます。
採取用の容器は、ペットボトルを漏斗状に加工した手作りのもの。
漆が垂れたり固まってしまう前に、手際よくリズミカルに集めていく必要があります。
木の下から順に一定の間隔を空けて傷をつけ、こちらを掻いている間にあちらから樹液が染み出し……と、傷をつけては巡回する作業を繰り返し、午前中はずっと広大な畑の中を動き回っていました。

また、今回は中国式の採り方にもチャレンジ!
木にV字の切り込みを入れ、流れてくる樹液を直接受ける手法です。
現場ではカットしたクリアファイルを用いて代用し、その違いを体感しました。




漆掻きの作業は午前中のみで行われます。
夏の陽気は良質な漆を生み出しますが、あまりの猛暑は人間だけでなく、漆の木自体もバテさせてしまうためです。
そのため、比較的涼しい朝の時間帯に集中して採取を行います。

10年の歳月と、たった200mlの恵み

驚くべきことに、10年かけて育った1本の漆の木から採れる漆の量は、わずか約200ml(コップ1杯分程度)しかありません。
これを一夏の間に何度かに分けて大切に採取していきます。
鳥取倉吉では、主に「殺し掻き(ころしかき)」という手法をとっています。
これは1年かけて木からすべての漆を採取しきり、最後にその木を切り倒す方法です。
翌年以降、残った根元から新しい芽が吹き出し、次の世代へと繋がっていきます。
ただし、倉吉はまだ研究の最中。敢えて倒さずに置いておき木陰を利用したり、
養生した2年目の漆の様子を調べたりとさまざまな手法を試しているところです。

苗木を植えてから10年という長い歳月をかけて大切に育て、その命の結晶として届くのが、たった200mlの漆。
実際に自分の手で削り、集めることで、漆という素材がどれほど貴重なものであるかを身に沁みて実感する研修となりました。



お昼には、お母様が握ってくださった美味しいおにぎりと冷えたスイカをいただきました!
午前中だけとはいえ、本日も滝のような汗をかいた身体に、温かいお心遣いがじんわりと染み渡りました。

次回は、今回一緒に作業をしてくださった手嶋さんのお話も交えながら、これからの「鳥取漆の展望」についてお伝えしていきます。どうぞお楽しみに!




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